ウイスキーを水で希釈すると味わいが増す仕組みを分子レベルで解析した論文が昨年発表されました。
元々、ウイスキーは樽熟成(マチュレーション)した後、瓶詰の際に加水(希釈)して40~46%にアルコール濃度を落としているわけですが、この加水によって、ウイスキーの味わいは著しく変化するという仕組みを分子レベルで論じたものです。詳しくは割愛しますが、樽熟成の過程で、ウイスキーに「グアイアコール」という物質が溶け出て、それがウイスキーにスモーキーなフレーバーを与えていると考えられています。特に、スコッチ・ウイスキーはグアイアコールをより多く含む傾向にあるとのこと。
この論文は、ウイスキーが瓶詰めされる前に加水されることで、ウイスキーに含まれるグアイアコールと、それに類似した化合物の味わいが増し、グラスに注がれたウイスキーをさらに希釈すると味わいが際立つ可能性のあることを示唆しています。
確かに、熟練のブレンダーも、テイスティングの際には加水して、その繊細な味わいと香りをチェックしていることを考えると、やはりそうだったんだと納得しますね。
因みに、グアイアコールとは、バニリン(香料)などを人工合成する際の原料で、虫歯の治療時には歯髄神経の麻痺・消毒に用いられる物質です。身近な例で言うと、正露丸の有効成分です。
興味のある方は、原文でどうぞ!
https://www.nature.com/articles/s41598-017-06423-5
Comments